11月下旬のブラックフライデーから、クリスマス、年末年始の初売りまで。ECにとって年末商戦は、1年でもっとも注文が集まる時期です。
経済産業省が2026年10月に公表した電子商取引に関する市場調査では、2025年の物販系BtoC-EC市場は15兆8,233億円で、前年から3.97%伸びました。市場が広がるほど、セール期の競争も激しくなります。
ただ、年末商戦は売上の山であると同時に、運営の負荷の山でもあります。注文が普段より大きく増えれば、受注処理や発送、お客様からの問い合わせも同じだけ増えます。ここで対応が遅れると、せっかくのセールが低評価のレビューや機会損失につながりかねません。
ここからは、2026年の年末商戦スケジュールを整理したうえで、繁忙期に起きやすいつまずきと、11月中に整えておきたい準備と生成AIの使いどころ、社内だけで回らないときの選択肢を解説します。
2026年の年末商戦スケジュール
2026年の年末商戦は、11月27日(金)のブラックフライデーから本格的に始まり、年明けの初売りまで約1か月半続きます。主な山場は次のとおりです。
| 時期 | 主なイベント | 運営で起きること |
| 11月下旬 | ブラックフライデー(11月27日)、サイバーマンデー(11月30日) | セール開始直後に注文が集中する |
| 12月上旬〜中旬 | お歳暮、ボーナス商戦 | ギフト対応(のし・包装・配送日指定)が増える |
| 12月中旬〜下旬 | クリスマス | 「クリスマスまでに届くか」という問い合わせが増える |
| 年末年始 | 休業期間、初売り・福袋 | 配送の遅れや休業中の注文への案内が必要になる |
楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングなどのモールでも、この時期に大型セールが開かれるのが恒例です。ただし開催日はモールごと・年ごとに変わるため、各モールの公式発表で日程を確認しておきましょう。
このスケジュールで見落とされやすいのが、イベントが立て続けに来ることです。ブラックフライデーの対応が終わる前にお歳暮とクリスマスの注文が重なり、そのまま年末の配送締切を迎えます。11月下旬から年末まで、運営側に一息つく余裕はほとんどありません。
繁忙期のEC運営で起きやすい4つのつまずき

年末商戦のつまずきの多くは、セールの企画ではなく日々の運営で起きます。代表的なものを4つ見ておきましょう。
受注処理と出荷が追いつかない
もっとも起きやすいのが、受注処理と出荷の遅れです。普段は数人で回せている量でも、注文が一気に増えると確認作業や出荷指示が後ろ倒しになります。「○営業日以内に発送」と案内している場合、それを守れないこと自体がお客様の不満につながります。
問い合わせが急増して返信が遅れる
注文が増えれば、配送状況の確認、注文内容の変更、キャンセルの相談といった問い合わせも増えます。受注や出荷に人手を取られていると、返信はどうしても後回しになりがちです。返信の遅れは、レビューやリピートにも影響します。
在庫切れ・在庫のずれが起きる
セールで想定以上に売れると、在庫切れや、システム上の在庫と実際の在庫のずれが起きやすくなります。楽天市場とAmazon、自社サイトなど複数の店舗で販売している場合は、店舗間の在庫連携が遅れて売り越しが起きることもあります。複数店舗の運営で起きやすい負担については、EC多店舗展開で失敗しないためにでも解説しています。
年末年始の配送遅延と案内漏れ
年末は配送会社の荷物量も増え、地域によってはお届けが遅れることがあります。さらに年末年始の休業期間をはさむため、「いつ届くのか」「休業中の注文はいつ発送されるのか」という案内が不十分だと、問い合わせが一気に増えます。
11月中に整えておきたい5つの準備と生成AIの使いどころ

繁忙期に入ってからでは、体制を変える余裕はありません。ブラックフライデーまでの11月中に、次の5つを整えておくことをおすすめします。あわせて、それぞれの準備で生成AIに任せられる部分も紹介します。基本の分担は「下書きはAI、最終確認は人」です。
販促カレンダーと在庫計画を先に決める
どのイベントに力を入れ、どの商品をいくつ売るのかを先に決めておきます。昨年の同じ時期の販売実績を参考に、売れ筋商品の在庫を多めに確保しておくと、在庫切れによる機会損失を防げます。セールの企画と在庫計画は、別々ではなく一緒に決めるのがポイントです。昨年の販売データを生成AIに渡して、商品ごとの売れ方の傾向をまとめてもらうと、計画のたたき台を短時間で作れます。最終的な数字は、在庫の実情を知る担当者が決めましょう。
受注・出荷が1日に何件まで回るかを確認する
今の体制で、1日に何件まで受注処理と出荷ができるのかを把握しておきます。販売計画と比べて足りない場合は、人員を増やすのか、業務の一部を外に任せるのかを11月中に判断します。上限が分かっていれば、セール中に「これ以上は発送日を延ばす」といった判断もしやすくなります。昨年の日ごとの注文数を生成AIで整理しておくと、注文の山がどの日に来そうかの見通しも立てやすくなります。
問い合わせ対応の準備をしておく
配送日、キャンセル、ギフト対応など、この時期に増える質問はある程度予想できます。よくある質問ページを更新し、返信のテンプレートを用意しておくだけでも、1件あたりの対応時間を短くできます。問い合わせの受付時間や、返信までの目安もあらかじめ案内しておきましょう。
ここは生成AIがもっとも力を発揮しやすい準備です。昨年の問い合わせ内容をもとに、よくある質問の候補や返信テンプレートの下書きをまとめて作れます。その際は、お客様の氏名や住所などの個人情報を取り除いてからAIに渡すようにしてください。
年末年始の休業・配送スケジュールを案内する
休業期間、年内発送の締切日、休業中の注文の発送開始日を、商品ページやトップページ、注文確認メールで早めに知らせます。配送会社の年末年始の受付状況も確認し、無理のない締切日を設定しておくことが大切です。案内文の下書きは生成AIに任せられますが、日付や締切をAIが間違えることもあります。掲載する前に、必ず人の目で確認してください。
不正注文への備えを見直す
注文が集中する時期は、一件ずつの確認が手薄になりやすく、不正注文を見逃すリスクも高まります。クレジットカードの不正利用対策や、怪しい注文を見分けるルールを、セール前に見直しておきましょう。不正の疑いがある注文の傾向や、確認するときのチェック項目のアイデアを出すときも、生成AIを使うと整理しやすくなります。具体的な対策は、3-Dセキュア義務化で終わりじゃない。ECのクレカ不正利用・チャージバック対策の最新実務で詳しく紹介しています。
社内だけで回らないときの選択肢

準備を進めるなかで「今の人数ではどう考えても足りない」と分かることもあります。繁忙期のためだけに人を採用するのは、時間もコストもかかります。そんなときに取れる選択肢と、外部に任せる範囲の決め方を整理します。
生成AIで定型業務を減らす
11月の準備だけでなく、セール期間中の作業にも生成AIは使えます。問い合わせへの返信の下書きや、レビューへの返信文の作成などは、AIで作業時間を短くしやすい業務です。最終的な確認は人が行う前提で、下書きをAIに任せるだけでも、担当者が本来の判断業務に使える時間が増えます。生成AIと外部リソースを組み合わせた体制づくりは、人が採れないEC運営をどう回すかで詳しく解説しています。
運営の一部を外部に任せる
受注処理、出荷指示、問い合わせ対応といった日々の運営業務を、外部に任せる方法もあります。繁忙期の直前に慌てて人手を探すより、普段から運営を一緒に回しているパートナーがいれば、年末商戦のような山場も体制ごと乗り切りやすくなります。EC運営代行を使えば、社内の担当者はセールの企画や売り場づくりなど、売上を左右する業務に集中できます。
どこまで任せるかの決め方
外部に任せるときは、すべてを丸ごと任せるのではなく、「社内の手が回っていない業務」から切り出すのが基本です。任せる範囲があいまいなままだと、期待していた対応がされていなかった、ということも起こりがちです。業務ごとに内製と外注のどちらが向いているかは、EC運営は内製か外注かの判断フレームワークも参考にしてください。
商戦が終わったら、1月にやっておきたい振り返り
年末商戦は、終わってからの動き方でも成果が変わります。1月に入ったら、次の2つを振り返っておきましょう。
1つ目は運営面の振り返りです。どの時期に、どの業務で対応が遅れたのか。問い合わせはどんな内容が多かったのか。これを記録しておくと、来年の準備がぐっと楽になります。
2つ目は、セールで初めて買ってくれたお客様へのフォローです。年末商戦は新しいお客様と出会える時期でもあります。お礼のメールや次回使えるクーポンなどで、2回目の購入につなげる工夫をしておくと、セールの売上を一過性で終わらせずにすみます。メールを使ったリピート施策は、ECサイトの広告費高騰を突破するメールマーケティング集客術も参考にしてください。
まとめ
ECの年末商戦は、ブラックフライデーから年末年始まで、イベントが途切れなく続く時期です。売上の山であると同時に、受注・発送・問い合わせが一気に増える運営の山でもあります。
セールの企画と同じくらい大切なのが、11月中に「回る体制」を整えておくことです。販促と在庫の計画、受注・出荷の上限の確認、問い合わせと年末年始の案内の準備、不正注文への備え。どれも生成AIに下書きを任せれば、少ない人数でも進めやすくなります。そのうえで、社内だけで回らない業務は、生成AIや外部の手を借りることも選択肢に入れておきましょう。
オタツーは、16年・4,000件以上の支援実績をもとに、EC運営代行として受注処理や問い合わせ対応から販促の企画まで、事業者様の社内チームの一員のように支援しています。年末商戦に向けた体制づくりでお困りの際は、お気軽にご相談ください。生成AIを自社で使いこなせるようになりたい方には、会員制コミュニティのECAXアカデミーもご用意しています。